五輪代表が続々V逸する卓球エース3人の弱点

2020年01月20日 16時30分

決勝で敗れた張本(右)はショックを隠せなかった

 卓球ニッポンは大丈夫なのか。全日本選手権(大阪)の男女シングルスで、東京五輪の代表メンバーが次々と敗れる波乱が起きた。男子では2年ぶり2度目の頂点を狙ったエースの張本智和(16=木下グループ)がまさかの準優勝。女子で史上初の「3年連続3冠」を目指した伊藤美誠(19=スターツ)は4強で姿を消し、石川佳純(26=全農)も決勝で敗れた。結果が求められるのはあくまで本番だが、個々の課題や“弱点”も浮き彫りになり、このままではメダル獲得の道のりは厳しいものになりそうだ。

 今大会のシングルスでは、男子は高校3年の宇田幸矢(18=エリートアカデミー)、女子で五輪代表を逃した早田ひな(19=日本生命)がそれぞれ初優勝を飾った。準決勝、決勝が行われた19日には会場に多くのファンが詰めかけて大声援を送ったが、“本命”が頂点に立つことはなかった。

 まずは男子。準決勝に続き、2試合連続でフルゲームに突入した張本は勝負どころでポイントを献上して準優勝に終わった。東京五輪では日本のエースの立場で臨む。優勝を義務づけられた立場で、重圧がなかったとは考えにくい。しかし、自身が年下でも「年齢が近いほうが相手は向かってくるので、そういう意味では(準決勝、決勝で対戦した)高校生の2人は注意していた」(張本)。それでも結局は受け身になり敗れてしまった。

 これで思い出されるのが、昨年4月の世界選手権シングルス4回戦で安宰賢(韓国)に敗れたこと。舞台の違いはあるものの、当時19歳で世界ランキング157位だった格下相手の一戦で本来の実力を発揮できなかった。今大会の結果と照らし合わせると、自身と年齢差がわずかで勢いのある選手は、張本にとって「苦手なタイプ」として刷り込まれている可能性がある。実際に張本は「2位なので特に何もなかったし(学んだことも)何もない。準決勝までいい試合だったけど、決勝の1試合でこれまで戦った自信が一気になくなった。また一からやるしかない」と語り、“苦手”に敗れたショックの大きさを感じさせた。

 一方、女子の伊藤は混合ダブルス、ダブルスを制し3年連続3冠に“王手”をかけながらも、ダブルスでペアを組んだ早田に準決勝でフルゲームの末、敗れた。「実力を出しきって負けた」と涙をこらえながら語ったが、課題も見つかった。

「慣れている選手にどれだけ勝てるかということ。1発目、2発目でやれば勝てると思うけど、慣れていく中でもっともっと勝てるように」。この発言は日本選手に向けてのものだが、海外選手に対しても同じことがいえる。本番までのワールドツアー、世界選手権団体戦(3月、韓国)などの国際大会で、卓球王国・中国を筆頭としたライバル国が伊藤と対戦していく中で徹底的に“みま対策”を講じてくることは間違いない。女子エースにも当然、それを上回る進化が必要だ。

 同じく女子代表で準優勝の石川は「(優勝した早田に限らず)誰に対してもだけど、右利き選手に比べて左利き選手相手のほうが得点パターンが少ないなと感じた」と修正ポイントを挙げる。三者三様とはいえ、それぞれ本番に向けた課題を露呈したことは確かだろう。

 昨年12月まで代表選考レースに身を投じた選手からすれば、準備期間やモチベーションを保つのが難しかった面もある。それでも、代表チームとしても課題が山積みなことは否定できず、男子代表監督の倉嶋洋介監督(43)は「気持ちを整頓させて五輪に向かわせないといけない。ひと言で言うと鍛え直すということ」と言い切った。

 本番まで残り200日を切り、果たして間に合うのか。卓球ニッポンに注目が集まる。