最終兵器が「金」に導く!? 卓球ニッポンは来年の東京五輪で複数種目のメダル獲得を狙っている。すでに男女とも世界のトップを争うレベルに達したが、頂点にたどり着くには最も大きな壁として立ちはだかる中国勢を倒さなければならない。そんな中で本紙は、水面下で“国家プロジェクト”が進行しているという仰天情報をキャッチ。日本卓球協会にとどまらず、数多くの外部スタッフが手掛けているものとは何なのか? 関係者を直撃した。

 東京五輪でのメダル獲得へ、男子では世界ランキング4位の張本智和(15=木下グループ)、女子では同6位の石川佳純(26=全農)、同7位の伊藤美誠(18=スターツ)らを筆頭に日本勢は確実に世界のトップに近づいている。

 しかし、リオ五輪男子シングルス金メダリストの馬龍(30)、同じく女子金メダリスト丁寧(28)ら超一流プレーヤーが集う中国勢が立ちはだかり、頂点を目指すのは容易ではない。日本と中国で競技人口が違うのは一目瞭然だが、なかなか実力差が縮まらないのはなぜか。日本協会の宮崎義仁強化本部長(60)は次のように指摘する。

「技術だったりデータ、その対策というのは日本のほうが進んでいる可能性もある。それよりも中国に100%負けているものは用具」。どうやら、“卓球王国”との距離を縮められない要因はラケットにあるというのだ。

 そんな「打倒・中国」に向け、本紙は水面下で“極秘プロジェクト”が進行しているとの情報をキャッチ。担当者は「国家秘密ですので…」としたが、話を聞いていくうちに少しずつ内容が明らかになった。それは新型ラケットの開発で「ただ従来のラケットの何かを変えるというものではありません。中国のラバーをしのぐラバーをゼロから製作しようということになったのです」と説明する。

 中国仕様の素材は日本を含む他の国とどう違うのか。「野球で例えると金属バットと木製バットですね。卓球は『用具スポーツ』と言われますが、金属と木製で打ったらどっちが飛ぶのかという話。でも、中国のラバーを上回ることができれば勝つチャンスは多くなる」(前出の担当者)

 ただ、数年前にスタートしたこの計画は当初から根本的な問題に直面している。協会関係者は「(中国の開発技術が)分からない。海外にも出回らないから、マネしようにもできない」。どうすれば“中国製”を上回るラバーが完成するのか。反発力、吸収力、スピード、スピンと課題を挙げればキリがない。

 そこで、開発チームはこれまで頼ってきた国内の卓球メーカーではなく、他競技メーカーなど本来とは異なるプロセスを求めた。「テレビ画面やスマホにしたって世界一小さいものをつくるとか、日本のモノづくりって最高レベルなところがたくさんある。その中でも日本のトップ機関の研究所を口説いた(笑い)。卓球(メーカー)だったら今までの概念みたいなものが崩れないから、卓球とは関係のないところ。最終的には卓球メーカーが公認をもらって選手が使えるようにする」(協会関係者)

“国家機密”とあって「守秘義務協定」を結んでおり、ラバー開発の研究機関など詳細は伏せられたが、数千人規模の研究所で数億円が投じられているとみられる。協会関係者は「必ずしも中国以上のものができるとも限らないけど、全く違う視点からつくるのも面白いのでは。勝算は20%といったところかな。あとは選手が評価することだから」と語り、成功する保証もないという。

 五輪までに新兵器を完成させる予定。果たして極秘プロジェクトが悲願の金メダルをもたらすことになるのか?