女王の意外な悩みとは――。卓球の世界選手権(21日開幕、ブダペスト)に出場する日本代表が15日、羽田空港から事前合宿を行うドイツへ出発。女子で世界ランキング7位の伊藤美誠(18=スターツ)は「早く試合がしたいし、楽しみで仕方ない」と意気込んだ。

 今大会は先月のワールドツアー・カタールオープンと同様にシングルス、ダブルス、混合ダブルスに出場することで「たくさん試合ができることはすごくいい経験になるし、すごくうれしいこと」と話す一方、難しい課題とも向き合うことになる。それは体力以上に頭の疲労を感じることだ。

 カタールでは最大で一日5試合をこなし、短い試合間隔の中で切り替えや調整の難しさを痛感した。「集中できず(脳の)指令が行かなくなるので体も動かなくなる。体は痛くないのに動かない…みたいな」

 多少の痛みであれば体にムチを打ってでも動けるが「頭が働かないと『頑張れ』という指令も出せない。いつも通りにいかないとイライラしたり、落ち着かなかったりするので体よりも頭が大事と思う」と力説する。これについて日本女子の馬場美香監督(53)は「伊藤は戦術をいろいろな場面で切り替えながら相手が何をやってくるか、自分がどう戦うかというのを非常によく考えている。他の選手よりもパワーで立ち向かうわけではなく、戦い方で対抗するので頭が疲れるというのは多いかも」と指摘した。

 とはいえ、来年の東京五輪の複数種目でメダル獲得が期待される伊藤だけにクリアしておきたいところ。そこで国内合宿では「(3種目を)ゴチャゴチャに混ぜて練習した。もちろん疲れはあると思うけど、どうすれば『やり切れるか』というのを繰り返しやった」と“シャッフル練習”で対応したという。今後の代表選考レースでも付きまとう“脳内疲労”を克服できるか。