東京五輪期待の金メダル候補に緊急事態発生だ。7日の卓球アジアカップ(横浜文化体育館)男子3位決定戦で張本智和(15=木下グループ)が敗退。右手薬指の負傷も判明し、周囲から心配の声が上がった。

 アクシデントが発覚したのは第4ゲーム終了後だった。1―3と追い詰められた張本はインターバルで右手薬指の痛みを訴え、治療が施された。しかし、状態が上向くことなく丹羽孝希(24=スヴェンソン)に2―4で敗戦。「万全でも勝てたか分からない」と言い訳は一切しなかった一方、試合前から痛みを感じていたことも事実で「今日は(練習の段階から)様子がおかしかった」と振り返った。

 経緯はこうだ。先月末のワールドツアー・カタールオープン準々決勝で敗れた翌日に右手薬指の付け根付近に違和感を覚えたという。日本代表の倉嶋洋介監督(42)によると、腱鞘炎の手前のような症状だが、代表のトレーナーに伝えながらも病院での診察は受けなかったため、はっきりした理由は分かっていない。

 そんな中で普段から「痛いとか言わない」という張本の異変を受けて倉嶋監督は棄権を進言。ただ、これを張本自身が拒否し「五輪でも同じようなケースがあるかもしれない。負けたくなかった」と表彰台が懸かった大一番で最後まで戦う決断を下した。

 とはいえ本当に無理をする必要があったのか。本人の意思は尊重されるべきだが、今大会は3位と4位のポイント差はわずか90。さらに、患部の状態次第では21日に開幕する世界選手権(ブダペスト)に影響を及ぼす可能性もある。シングルス、ダブルス、混合ダブルスの3種目に出場予定の張本について倉嶋監督は「今はまだ何とも言えないが」と前置きしたうえで「本人とちゃんと話し合いながら種目数を決めないと。想定されることはこちらも準備しておかないといけない」と慎重にコメントした。

 まずは8日に病院で診察を受けて今後の方針を固める。海外では類似した故障で手術を受けた代表選手もいる。今回はそこまで重症ではないようだが、快進撃を続けてきた15歳のエースに試練が訪れた。