これは下克上なのか、それとも…。卓球の全日本選手権第5日(18日、丸善インテックアリーナ大阪)、女子シングルスで世界ランキング9位の平野美宇(18=日本生命)が同85位で14歳の木原美悠(エリートアカデミー)に1―4で敗れる波乱が起きた。平野は「決勝に絶対上がれるとは思っていなかった。びっくりはしていない」と語るも「久しぶりに早く負けた。練習不足です」とガックリ。「すごくうれしいし、信じられない」と喜んだ木原とは対照的に「年齢は関係ない。今日は自分から崩れてしまった」と反省の弁を並べた。

 いったい何が起こったのか。Tリーグの松下浩二チェアマン(51)は本紙の直撃に「14歳の選手が世界ランク1桁の選手に勝ったんだから大波乱は大波乱」としつつも「木原はポテンシャルの高さで注目されている。これから日本代表で活躍していくという選手」と話し、驚いた様子は見せなかった。Tリーグ・木下アビエル神奈川では主にダブルスで長崎美柚(16=エリートアカデミー)と組んで活躍。松下チェアマンも「勝率も高く、リーグでは今一番じゃないかな」と目を見張る。
 
 その長崎も今大会、張本智和(15=同)と組んだ混合ダブルスで準優勝。昨年10月に始まったばかりの新リーグ効果が、発足後初の全日本選手権で早くも表れた形だ。松下チェアマンは「今回平野に勝ったことをさらなる自信にしてほしい。若い選手は自信を持つとグッと伸びる」と木原をベタ褒め。一方で平野に対しては「この結果を受け止めて次につなげるしかない」と奮起を促した。もちろん、アジア選手権やW杯を制した“ハリケーン・ヒラノ”がこのまま引き下がるはずもない。五輪1年前にして女子の日本代表争いは戦国時代に入った。