競泳のリオ五輪代表選考を兼ねた日本選手権(10日、東京辰巳国際水泳場)、高校1年の“シンデレラガール”池江璃花子(15=ルネサンス亀戸)は女子50メートル自由形で派遣標準記録を切れなかったものの、世界ジュニア新記録の24秒76で優勝し、有終の美を飾った。

 レース後、おなかを押さえて座り込んだ池江は「終わった後(痛みが)急に来ました。たぶん緊張が解けた」。重圧のかかる初の五輪選考会で12レースを戦い抜き、リレー3種目を含め4種目で代表に内定。自己採点した池江は「80点。レースに対しての不安は大きかったけど、自分の中でポジティブに考えていた」と安堵の表情を浮かべた。

 胸をナデ下ろしたのは担当する村上二美也コーチ(55)も同じ。

「ダメだったらクビを覚悟する気持ちでした。本当です」と本音を吐き出した。才能あふれる15歳は預かる立場も責任重大。特に競技日程が重なった100メートルバタフライと200メートル自由形の出場は、体力面の問題も含め「かなり悩みました」と眠れぬ日々を過ごしたという。池江が結果を出し「クビがつながりました…」。

 驚異の15歳は大活躍の裏でコーチも救っていた。

 リオ本番に向け「1バタ(100メートルバタフライ)は決勝に残って、リレーでは日本新を出したい」と目標を掲げた池江だが、村上コーチの目線はもう少し上だ。「バタフライはメダルもある」と期待を込めた。