成長するために下した決断とは――。水泳女子飛び込みの金戸凜(19=セントラルスポーツ、日大)が単独インタビューに応じた。6月の世界選手権シンクロ板飛び込みでは、三上紗也可(21=日体大)とのペアで女子初の銀メダルを獲得。快挙の裏側には、変化を恐れない覚悟があった。


 金戸が右肩の負傷を乗り越え、約3年ぶりに国際大会の舞台へ帰ってきた。普通なら緊張してもおかしくないはずだが、気負いは一切なかった。

 金戸 ウキウキやワクワクがすごい大きかった。久しぶりに海外の選手に会えるのがうれしかったし、自分がその場で飛べるのがうれしかった。今の自分の演技が海外の審判にどう評価されるかワクワクしていたし、今の自分の実力でどこまでいけるのかが楽しみだった。

 三上とペアを組んだのは昨年11月から。決してペア歴は長くないものの、憧れの存在だった先輩との練習は金戸にとって大きなプラスとなり、演技の幅が広がったという。

 金戸 紗也可ちゃんには「気にせずにいつも通り飛んで」と最初に言った。私が全部変えるというのは決めていた。私の演技が崩れるとかじゃなくて、私がもっと上にいけると思ったので苦ではなかったし、自分の演技が変わっていくのが目に見えたので楽しかった。自分のスタイルも変わったし、技術面もよくなったので、いいとこ尽くしだったかな。

 実際に三上を見習い、助走を高く飛ぶスタイルに変更するなど根本から自分を見つめ直した。確かな手応えをつかみ、世界で通用することも証明。ただ、順風満帆にいくとは思っていない。

 金戸 自分たちの実力が結果になって喜びを感じたけど、次の試合は怖いなという不安もある。以前に(フィギュアスケート男子五輪2連覇の)羽生結弦さんが「勝つのはいいけど、勝ち続けるのは難しい」みたいなことを言っていた。私も勝ち続けることがどれだけ難しいのかを、これから身に染みて感じるのかなと思っている。

 世界で結果を残しても、浮き足立つ様子は見られない。三上とペアを組んだのは、パリ五輪を視野に入れているからこそ。2年後のメダル獲得を目標に掲げる金戸の挑戦は、まだ序章にすぎない。