〝水の神様〟が舞い降りた「奇跡」を、五輪メダリストが緊急分析だ。白血病からの完全復活を目指す池江璃花子(20=ルネサンス)が、競泳の日本選手権兼東京五輪代表選考会(4日、東京アクアティクスセンター)の女子100メートルバタフライを57秒77で優勝。400メートルメドレーリレーでの五輪出場を決めたことで、日本中に驚きと感動が広がっている。

 2004年アテネ五輪女子200メートルバタフライ銅メダルの中西悠子氏(39)も、圧巻の泳ぎに「すごいのひと言なんですけど…」と驚きを隠せなかった。復帰後、バタフライを〝解禁〟した2月の東京都オープンは同種目で59秒44をマーク。短期間で2秒近くタイムを向上させたことになり、中西氏は「バタフライは一番体力を使うのでどこまで泳げるのかなと思っていたんですが、彼女はひとかきで水をとらえる力が長けているなと。体は細いけど、進む力がものすごくある」と指摘した。

 池江は白血病を公表後に初めて練習を公開した昨年7月、肩の可動域が以前と変わっていないと明かしていた。これについて、中西氏は「バテたときは可動域が狭くなりやすいんですよ。でも、彼女の手の長さに可動域、柔軟性があれば、やはり進む力が大きくなると思う」とみている。

 今大会はまだ50メートルと100メートルの自由形、50メートルバタフライの3種目が控えるが「バタフライが泳げてしまうんだから(いずれも)優勝を狙う位置にまで来ているのでは。4冠? 連戦に耐えうる体力があるかどうかですが、彼女に不可能という文字はないのかなと思います」と期待を寄せた。

「白血病になったと聞いたときは神様なんていないのかなと思ったんですが、本人の努力はもちろん水の神様が降りているのかな」と中西氏は目を細める。ミラクル快進撃はまだまだ続きそうだ。