競泳・辻内彩野は大の巨人ファン メダルを首に東京ドームで始球式を!

2020年11月14日 10時00分

辻内はコロナ禍でも着実に成長を遂げている(PhotobyMCCommunicationsInc.)

【Restart パラヒーローズ その壁を乗り越えろ(18)】“日本のお祭り女”から目が離せない。パラ競泳(S13)の辻内彩野(24=三菱商事)が着実に進化を遂げている。来夏の東京パラリンピックを前に、G党のヒロイン候補が胸中を激白した。

 あの日のカラオケがなかったら、今の辻内はいないかもしれない。高校卒業後の2015年3月、カラオケへ足を運んだ際に、すでに視力低下が進んでいたが、画面を近距離で凝視しながら熱唱していた。その姿を見た高校時代の同級生で、パラ競泳の森下友紀(24=千葉ミラクルズ)が「障がい者手帳が取れたらパラに来れば?」と冗談交じりで発したひと言が、のちに人生を大きく変える契機となる。

 高校卒業後は「高校3年間で出し切った」と水泳に区切りをつけ、大学でトレーナーを目指して勉学に励んだ。ところが、15年4月に判明した「黄斑ジストロフィー」の症状が悪化。17年に障がい者手帳を手にした。ちょうどそのころに「3つ下の妹のレースを見て泳ぎたいなって思ったりした時に森下の言葉が出てきた」と水泳への思いが再燃。パラ競泳の世界に飛び込むことを決意した。

 すると、17年に3種目で日本新記録を樹立。18年アジア大会で4個の銅メダルを獲得し、19年世界選手権100メートル平泳ぎでは銅メダルに輝いた。だがあくまで目標はパラリンピックでのメダル獲得。「何色でもいいので、メダルが欲しい」と苦手なウエートトレーニングやフォームの変更にも着手し「結構省エネで泳げるようになった」と手応えを口にするなど、明るい兆しが見えてきた。

 ファンであるプロ野球・巨人の存在が辻内のモチベーションになっている。家族全員が巨人ファンで、本拠地・東京ドームにユニホームを着て足を運ぶこともあると言い「私が一番好きな阿部慎之助さんは二軍監督になってしまったが、東京ドームで巨人の捕手に対して始球式をやりたい」と胸を膨らませる。

「東京で思い切り笑えるような結果を残せるように頑張るしかない。メダルと始球式のために」。来夏はメダルを首にかけ、東京ドームのマウンドに立てるか。

 ☆つじうち・あやの 1996年10月5日生まれ。東京都出身。水泳一家の長女として、小学校3年から競技人生をスタート。高校入学後、顕著に視力低下が目立つようになったものの、全国大会出場を果たす。2015年4月に進行性の難病「黄斑ジストロフィー」と診断されたが、17年からパラ競泳の世界へ。国内外の大会で好成績をマークし、東京大会のメダル候補に名乗りを上げた。現在の視力は左右0・1以下で、日によってはピントが合わず、真ん中が欠けた状態になるという。160センチ、60キロ。

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