【水泳】味の素VP栗原SDを直撃 金メダル取りへ“朝食のススメ”

2020年06月03日 11時00分

栗原秀文SD

【どうなる?東京五輪・パラリンピック(54)】 体だけではなく心も豊かに――。新型コロナウイルス禍で来夏に延期となった東京五輪に向けて、トップ選手たちは難しい調整を強いられている。そんな中、競泳男子の瀬戸大也(26=ANA)らアスリートの栄養面を支える味の素ビクトリープロジェクト(VP)の栗原秀文シニアディレクター(SD=44)はどう対応しているのか。オンライン取材によるインタビュー後編のテーマは「食事の原点」だ。

 アスリートの強化拠点である東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)が使用再開となったが、強化活動は元通りになったわけではない。栗原氏も「まずは選手のみが練習するところからスタートするから、自分たちがサポートできる体制が整うのは結構先になると思う」と受け止めている。

 ただ、本格始動となったときに万全の状態でトレーニングに励めるよう、選手らに提唱するのが“朝食のススメ”だ。当たり前のように感じるが「3回のうち1回の食事ということだけでなく意味合いはもっとデカい」と声を大にする。

 栗原氏によれば、朝食をしっかり摂取することで体温が上がり、1日を活動的なものにするためのバイオリズムを整える役割があるという。そんな朝食分の摂取カロリーを昼食や夕食で代用してしまうと「胃腸にも消化吸収に限界があり、それを超えると人間の体は生命を維持するために体脂肪として蓄える。そして太りやすくなったりする」と指摘する。

 特に栄養管理に携わっている競泳は来夏の五輪で、延期前の日程と同様に、午前中に決勝が行われるとみられる。「朝食をとって体温をしっかり上げる、イコールが本気を出せる準備。それができていない状態で午前中にベストなんて出せるわけがないし、五輪だからといっていきなり頑張って食べても、おなかがパンパンに張って泳げない。だから、習慣としてやってもらっている」

 その一方、VPメンバーには「『食事もトレーニング』なんてひと言も言わない。食べるときくらいリラックスして楽しまないと人生は豊かにならない」とのポリシーがあるという。

 選手との関係はあくまで栄養面のサポートが主体。だが、栗原氏はVPの強みを「いろんな悩みごとも含めて一緒に戦っていくという意識を持っている」と説明。その上で「食事は完璧じゃなくても、おおよそいい方向に行けばいい。うまい、楽しい、手軽、これでいいと思ったものを自分の楽しい空間の中で食べて『さあ頑張るぞ』となってもらうのが自分たちのスタンス」と“食の原点”を強調した。

 さらに、栄養管理の秘訣について「(食事に)100点を求めると大変。我々は科学的なエビデンス(根拠)を持っているので、おおよそでも正しい方向に導くことができる。難しすぎてもダメで、まずはいい方向に一歩踏み出してあげることが重要」(栗原氏)。食のプロが“縁の下”でアスリートを支え続ける。