【競泳日本選手権】女子のエース・大橋悠依に北島式メンタル調整法

2019年04月04日 16時30分

 女子のエースは重圧に勝てるのか。競泳の日本選手権2日目(3日、東京辰巳国際水泳場)、女子200メートル個人メドレーは2017年世界選手権銀メダルの大橋悠依(23=イトマン東進)が優勝した。7月に行われる世界選手権(韓国・光州)の代表内定第1号となったが、レース後は悔し涙。来年の東京五輪で金メダルが期待されながらも悩みを深める女王に課された、驚きのメンタル強化策とは――。

前半のバタフライ、背泳ぎはプラン通りのレース運びで100メートルを1分0秒42で折り返した大橋だったが、平泳ぎでリズムを崩し、最後の自由形では2位の大本里佳(21=イトマンSS)に詰め寄られて2分9秒27でフィニッシュ。世界選手権の代表内定1号となったものの、2017年の世界選手権で自らがマークした2分7秒91の日本記録には遠く及ばず「前半で力を使いすぎて最後の50(メートル)は必死だった。夏に向けてやることがたくさんある。納得していない」と涙を浮かべた。

 昨年のパンパシフィック選手権で400メートル個人メドレーとの2冠を手にし、東京五輪での金メダルが期待されている。だが、今大会は精神面で壁にぶつかった。すでに代表入りは当たり前。自己ベスト更新で世界と勝負していかなければならない立場となった。その中で、微妙に意識のズレが生じた。世界のライバルを意識するあまり、国内との“レベルの違い”を実感。相手を見下したわけではないが、戸惑いは隠せなかった。
「日本選手権なのに日本選手権と思えないというか…。2年前の世界選手権や去年のパンパシみたいな高まりが少なかった」と漏らした。

 そんな悩める女王に、競泳日本代表の平井伯昌ヘッドコーチ(55)は優しく接するつもりはない。「もっとできると思っていた」としたうえで「調子がいいけど『(ベストタイムが)出て当たり前』みたいな気持ちで行くと出なかったりする」と厳しく指摘した。

 もちろん、大橋が言う日本選手権でのモチベーション維持の問題には理解を示す。そこであえて突き付けたのが「五輪の決勝に進むタイムで泳げ」という過酷なノルマ。実はこの方法は、五輪2大会連続2種目金メダルの偉業を成し遂げた愛弟子の北島康介氏(36)にも実践させていたもの。平井ヘッドコーチは「予選からきつい『縛り』みたいなものを課さないとね」と大橋をとことん追い込むことで成長を促す考えでいる。白血病で闘病中の池江璃花子(18=ルネサンス)が不在で、大橋の今大会に懸ける思いは強い。

「あまり人柄で引っ張れるタイプではないので、姿勢だったり、記録の面を有言実行している姿を見せて引っ張っていきたい」。残りの200メートルバタフライ、400メートル個人メドレーでは「北島流」のメンタル調整法で納得いく結果を残したいところだ。