大相撲の春巡業は27日、埼玉・越谷市で全日程を終えた。横綱白鵬(33=宮城野)は巡業の稽古で初めて相撲を取り、越谷市出身の幕内阿炎(23=錣山)を相手に12勝1敗。呼び戻しなどの大技も繰り出し「(阿炎は)若手で勢いもある。(自身が休場した3月の)春場所の途中から土俵に下りて体を動かしてきた。積み重ねがあるから、それなりにできた」と貫禄を漂わせた。

 今回の巡業中に父ジジド・ムンフバトさんが死去してモンゴルへ一時帰国。再来日後は疲労と心労でダウンし、巡業を再離脱した。大横綱は「いろいろあっただけに早かった。前を見つめていくしかない。(父の死で)ふとしたときに力が抜ける感覚はあるけど、土俵に上がると(悲しみを)忘れられる」と激動の1か月間を振り返った。

 横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)は稽古では相撲を取らず四股などで汗を流した。「(巡業は)途中参加だけど思うように体も動いたし、日に日に良くなっている。場所前も元気な力士とやっていきたい」と夏場所(5月13日初日、東京・両国国技館)での復帰に向けて意欲を見せた。