緊迫呼ぶ貴乃花親方「全面降伏」 28日年寄総会は紛糾必至

2018年03月24日 16時30分

館内で弟子の取組を見届けた貴乃花親方。その胸中はいかに…

 ついに平成の大横綱が「全面降伏」だ。大相撲春場所13日目(23日、大阪府立体育会館)、貴乃花親方(45=元横綱)は元横綱日馬富士(33)による弟子の十両貴ノ岩(28)への傷害事件をめぐる日本相撲協会の対応を問題視して内閣府に提出していた告発状を取り下げる意向を示した。28日の年寄総会に出席して、親方衆の前で諸問題について説明することも明言。ただ、親方衆は逆に反発の姿勢を強めており、大混乱に陥ることは必至な情勢となった。“貴の混乱”はいつ終息するのか――。

 渦中の貴乃花親方は春場所の会場内で報道陣に対応。内閣府公益認定等委員会に提出していた告発状について「私としてはすべてをゼロにして、一兵卒として出直して精進したいと思っております」と事実上の撤回を宣言した。「出直し」を決意した理由については「弟子の貴公俊(20)が不祥事(8日目に付け人に暴行)を起こして、師匠の私の責任がある。まだ20歳と将来がある身。ぜひとも寛大な措置をお願いしたい」と話した。

 さらに28日に大阪で開かれる年寄総会へ出席することも明言。「質問が多々あるかと思う。丁寧にお答えできるようにしたい」と諸問題について、自らの口で親方衆に説明する意思を示した。貴公俊の暴行を境に、相撲協会との対決姿勢が一変。今後の協会との関係には「微力ながら協会のため、皆さんと話をして協力していきたい」とまで言い切った。

 貴乃花親方が告発状の撤回を表明したことで、今まで対立してきた相撲協会に「全面降伏」した格好となった。ただし、これで一件落着したわけではない。親方の一人は「(告発状の撤回は)もう遅い。(春)場所を潰した上に協会に迷惑をかけた罪は重い」と一蹴。別の親方は「日馬富士は責任を取って辞めている。自分の弟子にだけ甘い処分を求めるのはおかしい」と話すなど、むしろ角界内の反発は強まっているのだ。

 本来、本場所開催中に土俵外の話題を提供することは角界内の“タブー”の一つ。一昔前なら、おめでたい話の結婚でさえも場所中の発表を控えたほどだ。貴乃花親方が内閣府へ告発状を提出したのは春場所が始まる2日前の9日。報道各社にファクスを送り、部屋の公式サイトでも告発を公表した。この日の告発状の取り下げの表明も、終盤戦で優勝争いが佳境を迎えるタイミングだ。最終的に今場所は土俵外の話題ばかりが世間の関心を集めることになった。

 しかも、今回につながる一連の騒動は日馬富士による貴ノ岩への暴行が発端。貴乃花親方が独断で警察へ弟子の被害届を提出したことで騒ぎが拡大した。もちろん、現役横綱による暴力は絶対に許されないこと。結果的に、事件が表面化した時点で同じ結末(引退)を迎えた可能性は高い。

 ただ「日馬富士と貴公俊の(暴力を起こす)順番が逆なら、貴乃花親方はどうするつもりだったのか」(中堅親方)といった声も上がっており、親方衆の疑問は尽きない。今回の告発状の取り下げは、これまでの自らの主張そのものを撤回することになるからだ。

 いずれにせよ、28日の年寄総会は紛糾が避けられそうにない。相撲協会は年寄総会の結果を受けて、29日の理事会で貴乃花親方への最終処分を決定する方針。現在の「役員待遇委員」から「主任」や最下級の「年寄」への降格が有力視されるなか(本紙既報)、複数の親方からは「師匠を剥奪して、部屋を閉鎖すべきだ」との過激な主張も飛び出している。春場所が終わりを迎える一方で、角界内は緊迫の度合いを増している。