大相撲春場所(11日初日、大阪府立体育会館)は「看板不在」の緊急事態となった。5場所連続で休場中の横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)は8日に休場することが決定。横綱の6場所連続休場は2003年秋場所まで休んだ武蔵丸以来で、年6場所制となった1958年以降では貴乃花の7場所連続に次ぐ長期休場となる。稀勢の里は次に出場する場所で進退をかけることを明言していた。

 この日は大阪市内の部屋宿舎での稽古に姿を現さなかった。師匠の田子ノ浦親方(41=元幕内隆の鶴)は「左胸がなかなか完治できていない。本人も出たいとは思っているが、ちゃんとした形で土俵に上がりたいと。(完治させて)横綱らしい、周りの人を納得させられるような相撲を取ってほしい」と、古傷の左胸のケガを休場の理由に挙げた。

 両足親指に不安がある横綱白鵬(32=宮城野)も2日連続で稽古を休み、師匠の宮城野親方(60=元幕内竹葉山)は「痛みが取れない」と現状を説明。春場所の取組編成会議が開かれた9日、自身初となる2場所連続の休場が決定した。今年の春場所は1年前に劇的な逆転優勝を果たした和製横綱と、優勝40回を誇る大横綱が不在で迎えることになる。

 また、右手の指を痛めていた横綱鶴竜(32=井筒)は8日までに出場することを決めた。初日から3横綱全員休場となれば、昭和以降で初めてとなる“異常事態”だったが、それは辛うじて回避された。「荒れる春場所」と言われるが、今年はすでに荒れ模様だ。