日本相撲協会の臨時評議員会が4日、東京・両国国技館で開かれ、元横綱日馬富士(33)の暴行事件で被害者の十両貴ノ岩(27)の師匠、貴乃花親方(45=元横綱)の処分の可否を審議し、同親方の「理事解任」が正式に承認された。今後は「役員待遇委員」となり、事実上の「2階級降格」。相撲協会の理事解任は史上初となった。

 貴乃花親方は昨年12月28日の臨時理事会で暴行事件に関する「報告懈怠」と「理事としての忠実義務違反」を理由に、評議員会に理事解任の審議を求める決議を下された。協会の最高議決機関である評議員会にはこの日、7人中5人が出席。約1時間行われた会議の終了後に会見した池坊保子議長(75)によれば、全会一致で決議された。

 同議長は、巡業部長の貴乃花親方が秋巡業中に起きた暴行事件の協会への報告義務を怠り、危機管理委員会による調査協力に応じなかったことに「公益財団法人の役員としては考えられない行為」と断じ、問題解決を長引かせた責任は重いとした。

 さらには「相撲は国技。相撲道は礼に始まって、礼に終わると言われる。貴乃花理事の多くの行為、言動は明らかに礼を失していた。特に上司であり、かつ先輩でもある八角理事長(54=元横綱北勝海)が何度も携帯電話に連絡しても応答なく、折り返しがないというのは著しく礼を欠いていたのではないか。貴乃花理事には決議を厳粛に受け止め、真摯に反省し、今後は礼を持って行動してもらいたい」と話した。

 また、評議員会終了後に協会の事務局が貴乃花部屋に連絡を入れて「理事解任」の決議を伝えたが、本人は不在。会見中に同親方から事務局に折り返しがあり「わかりました」と伝えてきたという。