元横綱日馬富士(33)による幕内貴ノ岩への暴行事件で“当事者”の一人でもあった横綱白鵬(32=宮城野)の評判が大きく低下している。九州場所で黒星の後に“物言い”をつけた行動だけでなく、優勝インタビューで日馬富士と貴ノ岩の復帰を希望し、観客と万歳三唱して11月30日の理事会で厳重注意。さらに八角理事長(54=元横綱北勝海)に、貴乃花親方(45=元横綱)の下では冬巡業に参加できない、といった批判をしたことも判明し、世間から猛反発を受けている。

 白鵬は九州場所で前人未到の40度目の優勝を果たした強さもさることながら、交友関係の広さからテレビのバラエティー番組やCM出演も多かった。特にCMでのアピール度は大きく、ここ数年ではサッポロビールや住友林業、さらにアサヒ緑健(緑効青汁)といった有名企業の“顔”として起用され、好感度も高値安定。だが、2015年1月の初場所後に審判批判をして多くの関係者から苦言を呈されたあたりから、取り巻く環境は変わり始めた。

 そんな中で今回の日馬富士暴行事件に端を発し、白鵬の株は急降下。スポーツ関連を手がける広告代理店関係者は「こうなってしまっては、これから白鵬を(CMに)使いたいという企業はなくなっていくだろう。もうすでに敬遠する傾向も出ている」と大横綱に対しての風当たりの強さを示した。民放関係者からも「この流れでは、横綱(白鵬)を番組で使うのはリスクがある」との声が出ている。

 本業の相撲で圧倒的な強さを見せ“タニマチ”からも支援を得ている白鵬からすれば、番組やCM出演が減ることによる金銭的ダメージはそれほどない。だが、土俵以外の部分で露出が減れば好感度にも影響が出る。世間から支持を得ている貴乃花親方を敵に回した構図も明らかになったことで、白鵬の“ヒール化”は避けられなくなった。

 引退を発表した日馬富士は2日に鳥取県警から鳥取市内で再聴取され、早ければ来週にも書類送検される。一方の白鵬は3日から長崎・大村市で始まる冬巡業に参加。ファンがどんな反応を示すのか、注目が集まる。