大相撲九州場所2日目(13日、福岡国際センター)、横綱白鵬(32=宮城野)が幕内玉鷲(32=片男波)を送り出して2連勝。前人未到の優勝40回の大台到達へ向けて好スタートを切った。9月の秋場所は左ヒザのケガで全休。2場所ぶりに出場する今回は異例のハイペース調整で万全の状態に仕上げた。年明けにはビッグイベントも控えており、今場所にかける大横綱の本気度は「120%」だ。

 白鵬が玉鷲を一蹴し、連勝発進した。取組後は「全部良かったんじゃないかな。当たってから(左上手の)タイミングも良くて最後のところも良かった。“三つぞろい”だね。相手の動きを見て、余裕を持っていったのがいいところだったのでは」と自画自賛。3横綱で唯一の連勝に「結びだからね。しっかり締める。それだけです」と貫禄を漂わせた。

 9月の秋場所は左ヒザの故障で全休。ただ、休場中もV40を目指す高いモチベーションを保ち続けてきた。秋場所直後の1週間は部屋の力士が休養する中、白鵬だけは筋力トレーニングなどで体を動かし続けていたという。福岡入り後も大横綱にとっては異例とも言えるハイペース調整を行った。

 普段なら自分の部屋以外の関取衆と相撲を取るのは本番1週間を切ってから。今回は番付発表の3日後には出稽古に来た関取衆と胸を合わせた。これまでは場所に入ってから徐々に調子を上げていくタイプの白鵬が、初日の段階で万全の状態に仕上げた。

 大横綱が今場所での優勝に強く意気込む理由は土俵外にもある。来年1月の初場所後に、通算勝利数で新記録を達成した祝賀会を都内で開催するからだ。

 白鵬は7月の名古屋場所で、それまで歴代1位だった魁皇の通算1047勝の記録を更新(現在1052勝)。師匠の宮城野親方(60=元幕内竹葉山)と白鵬は、かねて優勝40回の大台到達とのダブル祝賀会を開く青写真を描いていた。角界で前人未到となる2つの大記録を祝うイベントとなれば、盛り上がることは間違いない。

 そのためには今場所と来場所のどちらかで優勝する必要があるのだ。できれば年内に大台到達を決めて、スッキリとした形で年明けの大イベントに臨みたいところだろう。他の2横綱に早くも土がつく中、危なげなく連勝発進を決めた。やはり今場所も、優勝候補の大本命と言えそうだ。