大相撲秋場所10日目(19日、東京・両国国技館)、横綱日馬富士(33=伊勢ヶ浜)が幕内貴景勝(21=貴乃花)のはたき込みに屈して4敗目を喫した。1場所で4つの金星配給は2001年秋場所の武蔵丸(5個)以来の不名誉。1敗の大関豪栄道(31=境川)と3差に開き、7場所ぶり9回目の優勝は絶望的となった。

 取組後は「あーあ」とタメ息をついて何度も舌打ち。「優勝は厳しい? 続けることが大事だ。(金星4個は)精一杯やった結果だから、しようがない」と言葉を絞り出した。両ヒジに古傷を抱え、土俵ではサポーターが欠かせない。師匠の伊勢ヶ浜親方(57=元横綱旭富士)は「腕が使えないから、持ち味の立ち合いから(相手を)突き起こす相撲ができない」と苦戦の要因を挙げた。

 昭和以降では初めて3横綱が初日から休場するなか、ここまで一人横綱として奮闘。しかし終盤戦を前にしてV戦線から脱落した。それでも、日本相撲協会の八角理事長(54=元横綱北勝海)は「(横綱は)優勝から遠ざかると気合を入れようと思っても、力が入らなくなる。(3横綱不在の)特別な場所だから、気持ちを奮い立たせてほしい」とハッパをかけた。

 横綱の本来の務めは終盤戦までの優勝争い。とはいえ、今場所の日馬富士に限れば「15日間出場」と「皆勤負け越し回避」が最低限のノルマとなりそうだ。