大相撲秋場所8日目(17日、東京・両国国技館)、大関豪栄道(31=境川)が小結玉鷲(32=片男波)を一気に寄り切って1敗をキープ。過去5勝5敗で3連敗中(不戦を除く)の難敵を退け、カド番脱出にも王手をかけた。場所の序盤戦は立ち合いの変化や土俵際の逆転勝ちが目立ったが、この2日間は前に出る相撲で快勝。尻上がりに調子を上げている。

 取組後は「内容は良くなっている。まだ7日間ある。一日一日のことは振り返らず、また明日から」と気持ちを引き締めた。中日を終えて3人が1敗で並び、4人が2敗で追いかける展開。豪栄道以外は全員が平幕だ。この日の取組の仕切りの間には観客から「豪栄道コール」が起きるなど、3横綱2大関を欠く中で看板力士としての期待を背負っている。

 審判部長の二所ノ関親方(60=元大関若嶋津)は「豪栄道が良くなってきた。大関が頑張ってくれないと」と話す一方で、日本相撲協会の八角理事長(54=元横綱北勝海)は「(立ち合いで見せた)張り差しは小細工。下(の番付)にはごまかせるが、上にはごまかせない。踏み込んでガツンと当たらないと。(横綱に)上がろうと思ったらね」と指摘。あえて厳しい言葉で奮起を促した。

 この日、左ヒザを負傷した大関照ノ富士(25=伊勢ヶ浜)が9日目以降も休場することが決まり、次の九州場所で関脇に陥落することになった。大関2場所目の高安(27=田子ノ浦)も右太もものケガで休場中だ。大関の地位の存在価値を示すことができるのは、豪栄道だけ。残り7日間、「大阪の星」の戦いぶりに注目だ。