【大相撲秋場所】高安、宇良が休場 相撲人気に危険な兆候

2017年09月12日 11時30分

車イスで退場する宇良

「負の連鎖」が止まらない。大相撲秋場所2日目(11日、東京・両国国技館)、初優勝を目指す大関高安(27=田子ノ浦)が、小結玉鷲(32=片男波)との取組で右太ももを負傷。人気力士の幕内宇良(25=木瀬)とともに休場が決まった。昭和以降では初めて3横綱が初日から休場する中、新たに看板力士が故障する緊急事態となった。ケガ人が続出し、せっかく復活した大相撲人気がしぼみかねない危機に直面している。

 まさかのアクシデントが高安を襲った。玉鷲に押し出されて初黒星を喫した取組で、右太もも付近を負傷。花道を自力で歩くことができず、車イスに乗って国技館内の相撲診療所に直行した。診察を終えると、車イスは使わずに歩いて報道陣の前に姿を見せたが…。高安は「大丈夫。痛み? 大したことない」と気丈に話す一方で、足を引きずるようなしぐさも見せた。

 地下駐車場で居合わせた審判部長の二所ノ関親方(60=元大関若嶋津)から「大丈夫か?」と声をかけられると、高安が「肉離れです」と答える一幕もあった。今場所は初日(10日)から白鵬(32=宮城野)、稀勢の里(31=田子ノ浦)、鶴竜(32=井筒)の3横綱を欠く中、初優勝の期待が高まっていた高安までもが“故障者リスト”に名を連ねる緊急事態となった。

 同じ一門の大関としても目をかけてきた二所ノ関親方は「高安には一番、期待していたのにね」と失望を隠せない。この日は小兵の人気力士の宇良も取組で右ヒザを負傷。幕内の土俵は、さながら「野戦病院」の様相を呈してきている。

 日本相撲協会の八角理事長(54=元横綱北勝海)はケガ人続出の状況について「こればかりはね…。ケガをしない体づくりは本人にしかできない。日々の鍛錬だから」と渋い表情を浮かべるしかなかった。

 秋場所の前売り券は発売と同時に即日完売するなど、大相撲人気は継続。しかし、3横綱が休場した今場所は微妙な変化が表れている。満員札止めとなった初日、角界関係者は「当日券を求めるお客さんの出足が(前回東京場所の)5月場所に比べて遅くなっている。(3横綱休場の)影響がないとは言えない」と証言した。V字回復した大相撲人気に、危険な陰りの“兆候”が見え始めているのだ。さらに看板力士や人気力士の離脱の動きが広がれば、一気にファン離れを引き起こす可能性もある。

 今場所は優勝争いという点でも危機的な状況にある。まだ2日目だというのに、三役以上の力士で全勝は横綱日馬富士(33=伊勢ヶ浜)だけ。上位同士のシ烈なV争いは望めそうにない。3横綱不在で始まった秋場所はこのまま盛り上がりを見せずに終わってしまうのか。