大相撲秋場所(9月10日初日、東京・両国国技館)でV40を目指す横綱白鵬(32=宮城野)が30日、東京・墨田区の部屋で稽古を再開した。ただ、古傷の左ヒザが万全ではなく相撲を取ることには慎重な姿勢を示した。白鵬だけでなく4横綱は揃って体調面に不安を抱えており、出場の可否は不透明。この状況に他の関取衆は気をもんでいる。

 この日の白鵬は古傷の左ヒザの状態を確認しながら四股やすり足などの基本運動をこなすと、ダンベルやゴムチューブを使ったトレーニングで汗を流した。左ヒザの状態について「(体が)温まったら思い通りだったけど。(調整は)ゆっくり、ゆっくり。軸足が左だから。稽古をやりすぎると痛みが出る。まだ相撲を取るのは先? そうだね」と慎重な口ぶり。

 師匠の宮城野親方(60=元幕内竹葉山)は「巡業中も痛かったようだが、我慢しながらやっていた。秋場所は出場? まだ分からない」と言葉を濁した。今場所は白鵬だけではなく、日馬富士(33=伊勢ヶ浜)、稀勢の里(31=田子ノ浦)、鶴竜(32=井筒)の4横綱が揃って体調面に不安を抱えており、先の夏巡業でも本格的な稽古をする姿は見せずじまい。稀勢の里もこの日、部屋での稽古で相撲は取らずに基本動作を繰り返しただけ。痛めていた左腕の強化についても「まだまだです」と慎重だった。

 いったい、4人のうち何人が出場できるのかは現時点で不透明だ。この状況に、他の関取衆も気をもんでいるという。角界関係者は「巡業中に関取衆から『(秋場所に)横綱は出るんですか?』とよく聞かれた。特に上位の力士は気になるのでは」と明かす。

 横綱と直接当たる位置にいる上位力士は、横綱が場所に出るかどうかで対戦相手や星勘定が大きく変わってくる。巡業の稽古の動きから調子を推し量ろうにも、肝心の横綱がほとんど稽古をしていないのだから見極めようがない。いつも以上に情報に敏感になっているということなのだろう。

 果たして4横綱は全員が揃って出場できるのか、何人かは休むのか、それとも…。ファンのみならず、関取衆も動向に注目している。