大相撲名古屋場所13日目(21日、愛知県体育館)、横綱白鵬(32=宮城野)が大関高安(27=田子ノ浦)を押し倒して12勝目(1敗)。通算1048勝となり、魁皇(現浅香山親方)の記録を抜いて単独1位に浮上した。前人未到の大記録を樹立し、先場所に続くV39も目前。完全復活を印象づけている。白鵬の周辺も本人が公言する2020年までの現役続行を確信。来年以降へ向けて、さまざまな計画が進行中だ。

 通算勝利数で単独1位に浮上した白鵬は「気持ちいいです。(入門から)いろいろありましたからね。最近で言えば昨年のケガ(右足親指など)とかもあったから。夢みたい」と喜びに浸った。今回の大記録も白鵬にとっては通過点。次に目指す目標を問われると「幕内1000勝と北の湖関の63場所(横綱在位1位)」と早くも新たな記録を挙げた。

 この日で幕内勝利は954勝目(史上1位)。あと46勝で前人未到の大台に到達する。今場所で横綱在位60場所目となり、あと3場所でトップに並ぶ。V39も目前に迫っており、優勝40回の大台にも王手をかけることになる。昨年の名古屋場所から5場所連続でV逸。大横綱の権威が揺らぎかけた時期もあったが、先場所の全勝優勝と今場所の活躍を見る限りは「完全復活」と言っていい。

 かねて白鵬が目標とする2020年までの現役続行を周囲も確信している。来年以降も大横綱が土俵に上がり続けることを前提に、さまざまな計画が進行中だ。紗代子夫人の地元・徳島の後援会では来年秋の巡業誘致をすでに準備。もちろん、白鵬が現役横綱として凱旋することを見越してのものだ。

 宮城野部屋の地方場所の受け入れ先では、白鵬がより快適に過ごせるように居室を広げたり、風呂場を改良するなどサポート体制を強化する計画が持ち上がっている。V40を達成したあかつきには、大手企業が白鵬のために新たな化粧まわしを贈呈するプランもある。その後、本場所の土俵で披露してもらうことを想定しているのは言うまでもない。

 こうした周囲の期待を、白鵬自身も敏感に感じ取っているはず。自らが設定した目標とともに、今後も現役を続けていく上での大きなモチベーションとなりそうだ。