大相撲名古屋場所9日目(17日、愛知県体育館)、横綱白鵬(32=宮城野)が幕内輝(23=高田川)をはたき込みで退け、全勝をキープ。通算1045勝目を挙げて史上2位の千代の富士に並び、同1位の魁皇(現浅香山親方)の記録まであと2勝に迫った。取組後は「うれしいですね。この数字が場所前の目標だった。早々と達成してホッとしています」と満面の笑みを浮かべた。

「1045勝は毎場所全勝優勝しても10年以上かかる。とんでもないことだと入門したときは思っていた。明日(10日目)勝って、相撲界でお世話になった兄弟子を超えることが恩返しになる」と“ウルフ超え”に意気込んだ。千代の富士と魁皇は「現役最後の白星=通算勝利数」。白鵬は余力を残して達成したことに大きな価値がある。

 今も第一人者の立場を守り続けられるのは、日ごろの努力のたまもの。全盛期に比べて稽古の番数こそ減ったものの、四股やすり足などの基本運動にかける時間は同世代の力士に比べても抜きんでている。相撲を取る前に稽古場で汗びっしょりになる姿は、昔も今も変わらない。本場所中は酒を控えるなど節制するスタイルを貫いている。

 師匠の宮城野親方(59=元幕内竹葉山)は「ケガをして危ない時期があったが(体幹トレなどで)体を鍛え直して良くなった。(現役続行を目指す)2020年まで体を持たせることを第一に考えている。若い衆が稽古を休む日に自分で体を動かしたり、人が見ていないところでも努力している。場所中は食事に出かけても夜の9時半には必ず宿舎に戻ってくる」と証言した。

 白鵬にとっては今回の記録はあくまで“通過点”と言えそうだ。