大相撲名古屋場所(9日初日、愛知県体育館)で復帰を目指す横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が2日、愛知・長久手市の部屋宿舎で行われた稽古を欠席した。師匠の田子ノ浦親方(41=元幕内隆の鶴)は「大事を取った? そうです。(稽古欠席を決めたのは)本人から。(休場は)今は考えていない。(場所に向けた調整は)本人も横綱だから分かっていると思う」と説明した。

 稀勢の里は春場所に痛めた左上腕と左胸のケガの影響で5月の夏場所を途中休場。ここまでは出場へ向けて順調に回復しているかに見えた。しかし、前日1日に行われた二所ノ関一門の連合稽古では武器である左をほとんど使うことができず、格下の小結嘉風(35=尾車)に苦戦。本人も「疲れ? そういう部分もある。少しでも歯車が狂うと良くない」と状態の悪さを認めていた。

 これまで稀勢の里は場所の直前に疲労を抜く目的で休養日を設けることはあったが、調整の仕上げの段階に入る本番1週間前に稽古を休むのは異例。6月中旬から関取衆との稽古を再開し、名古屋入り後は弟弟子で新大関の高安(27)と連日にわたって三番稽古をこなすなど急ピッチで調整を進めてきた“反動”が、ここへきて出た可能性もある。

 和製横綱の復帰に注目が集まるなか、本番へ向けて新たな不安が露呈した格好だ。