横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が11日、茨城・水戸市にある常陸山の像の前で土俵入りを行った。「角聖」と呼ばれた常陸山は茨城出身で明治後期から大正初期にかけて第19代横綱として活躍。同郷の大先輩の像の前で雲竜型を披露した稀勢の里は「こういう機会をつくっていただき光栄。少しでも、一歩でも近づけるように精進していく」と決意を新たにした。

 この日の土俵入りは弟弟子で新大関の高安(27)を太刀持ち、幕内松鳳山(33=二所ノ関)を露払いに従えた。大関が太刀持ちを務めるのは異例のことで、次の名古屋場所(7月9日初日、愛知県体育館)からは一門の他の力士に代わる予定。同じ茨城出身の高安は「自分も、いつかこの場所で(横綱)土俵入りをやってみたい」。稀勢の里も「寂しい感じはあるが、うれしい卒業」と弟弟子の“巣立ち”を喜んだ。

 夏場所は左上腕と左胸のケガで途中休場する一方で、この日は約3800人もの見物客が詰め掛けるなど地元の熱は衰える気配はない。今度こそ、完全復活で期待に応えることができるのか。