大相撲夏場所(14日初日、東京・両国国技館)で大関取りに挑む関脇高安(27=田子ノ浦)の“単独調整”は吉と出るのか。これまでは新番付発表直後から兄弟子の横綱稀勢の里(30)と連日にわたって三番稽古を行うのが恒例だったが、その兄弟子は左上腕部などの故障明けのため、スロー調整中。常にフルパワーでぶつかり合う猛稽古で互いに調子を上げ、春場所では2人で優勝争いを繰り広げたのは記憶に新しい。

 そこで、稽古相手不在の事態となった高安は異例とも言える出稽古を敢行。4日は東京・墨田区の時津風部屋で横綱鶴竜(31=井筒)に胸を借り、5日も同部屋で平幕正代(25)、豊山(23)と稽古を行った。「いい感じでできた。思い切ってやった」と充実感を漂わせた。

 一門外の部屋に単身乗り込んで稽古を行うのは、今回が初めてのこと。もちろん、出稽古には普段の稽古相手と異なるタイプの力士と肌を合わせられるメリットがある。ただ、今までの調整法で一定の結果を残してきただけに本場所にどう影響するかは未知数だ。

 稀勢の里は順調なら8日にも本格的な稽古を再開する予定だが、調整が遅れるようであれば高安は“ジプシー生活”で仕上げるしかなくなる。「出稽古はあまりないことだし、いい機会。(稀勢の里との稽古は)どうなるか分からないけど、しっかりプランを立ててやるだけ」と前向きに話しているが…。夏場所の目玉力士だけに、結果が気になるところだ。