大相撲春場所12日目(23日、大阪府立体育会館)、大関(25=伊勢ヶ浜)が幕内遠藤(26=追手風)を下して1敗を守った。遠藤にもろ差しを許して土俵際まで寄られたが、右上手をつかんで相手を持ち上げながら前に出ると、最後は豪快に浴びせ倒した。

 一昨年の大関昇進後に両ヒザを痛めて苦しんできたが、今場所はケアが実って状態が改善。十分な稽古量を積むことができた。照ノ富士は「今まで稽古できていなかった。今場所はケガしてから一番できている。稽古はウソをつかない」と手応えを口にする。

 何より新横綱の稀勢の里(30)と、大関の地位をうかがう関脇高安(27)の田子ノ浦勢の躍進に刺激を受けている様子。「高安は(いずれは)大関になるだろうな」と同世代のライバルの成長を認める一方で「今場所でオレが“準優勝”なら、来場所は綱取りになるの?」と報道陣に逆質問する場面も。再び横綱を目指す気持ちが強くなったのだろう。

 1差で追いかける稀勢の里とは千秋楽で激突する見込みだ。このまま白星を重ねていけば「準優勝」どころか、自身2度目の優勝も見えてくる。そうなれば、間違いなく来場所は綱取りとなる。大関昇進当時、次の横綱候補の最右翼と目されていたのは照ノ富士だった。稀勢の里にとっても、ひたひたと追ってくる照ノ富士は不気味な存在となりそうだ。