年寄名跡“駆け込み取得”急増の裏事情

2012年12月30日 16時00分

 日本相撲協会の公益法人化をめぐり、角界内が再び騒がしくなってきた。現役力士らの間で、年寄名跡の取得を画策する動きが活発化しているというのだ。これまでは新制度での名跡の扱いが不透明だったことから、取得を控える慎重派が大勢を占めていた。今回の“急変”の背景は――。

「年寄名跡」とは、現役を引退した力士が親方になるために必要となる資格のようなもの。これまで高額で売買され、公益法人化の障害となっていた。

 相撲協会の公益法人制度改革対策委員会は10月、年寄名跡の譲渡に伴う金銭授受の禁止、売買が発覚した場合には除名などの厳罰を科す方針を固めた。ただ、「顧問料」などの名目で金銭をやりとりすることまで禁じておらず「抜け道あり」との指摘もある。

 一方で、年寄名跡改革の本格的な検討が始まった昨年の夏以降、現役力士や正式な所有者から名跡を借りている親方の多くは名跡の取得に慎重な姿勢を見せていた。当初は相撲協会が名跡を買い取る案などがあり、先行きが不透明な状況だったからだ。しかし、最近になって水面下の状況が変わり始めているという。

 事情に詳しい角界関係者は「『年寄名跡を買いたい』という話をよく聞くようになった。以前に比べて、だいぶ相場が下がってきているそうだ。それに、厳しい制度になる前に(名跡を)手に入れておきたいという考えもあるのだろう」と明かす。数千万円とも1億円以上とも言われる年寄名跡の相場。名跡改革の過程で力士らが「買い控え」に回れば、値段が下がるのは自然な流れだ。“お手ごろ価格”なら買いたいと思う者が現れても不思議ではない。

 抜け道があるにせよ、名跡の売買が厳罰化されれば、発覚時に除名や解雇をされる危険が伴う。今のうちに名跡を取得してリスクを回避したいとの思惑も、拍車をかけているというわけだ。公益認定の申請時期について、広報部長の八角親方(49=元横綱北勝海)は「初場所後になるのでは」との見通しを示す。今後は年寄名跡の「駆け込み取得」が増加しそうな雲行きだ。

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