第72代横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が、ついに誕生した。横綱白鵬(31=宮城野)を筆頭とするモンゴル勢が角界を席巻する中、19年ぶりとなる日本出身横綱の誕生に列島は大フィーバー。苦労を重ねて角界の最高位に上り詰めた感動ストーリーに、国民も大きな期待を寄せている。普段は不器用ながら、意外な一面を持つ新横綱の素顔に迫った。

 ◆元野球少年 幼少期からスポーツ万能。小学4年から野球を始め、茨城・長山中時代にはエースで4番を務めた。全国的な知名度を誇る名門校で、甲子園・春夏通じて優勝2回、準優勝2回の常総学院からスカウトされた。

 ◆趣味 スポーツ観戦。アメリカンフットボールの大ファンで、過去には日本選手権のテレビ中継にゲスト出演。その他にもサッカー、野球、ボクシングなど幅広く観戦し、知識も豊富。

 ◆孤高の存在 本場所で対戦する他の関取衆とは交流しない。力士会がファンサービスで企画した日本相撲協会の公式ソング「ハッキヨイ!大相撲 ひよの山かぞえ歌」の合唱で消極的な態度を見せ、白鵬から「皆が歌っていて、彼は立っているだけ。いかがなものか」と苦言を呈されたことも。本人いわく「自分は力士。土俵の上でしか表現できない」。

 ◆力士の務め 力士たるもの、土俵の務めが最優先。今でも先代師匠の元横綱隆の里の教えを守り、テレビのバラエティー番組やCMなどの出演は、基本的にはNGの姿勢を貫いている。横綱昇進でオファーが爆発的に増えると予想されているが…。

 ◆昔かたぎ 勝ち負けに一喜一憂しない古風な力士像を体現。場所中は連日、「今日は今日、明日は明日」「集中してやるだけ」などの決まり文句を連発。悲願の初優勝を決めた初場所14日目も「過剰に喜ぶのは良くない」と自らを戒めた。

 ◆好きな食べ物 焼き鳥やしゃぶしゃぶ、エビチリなど。力士は食べるのも仕事のうち。先代師匠は弟子たちの目の前で魚のさばき方を披露。そば、うどんの打ち方を実演して弟子に食べさせるなど「本物の味」を叩き込んだ。先代譲りの食通でもある。

 ◆意外におちゃめ? この日の伝達式の口上の出来については「少しかんでしまいました。すいません(笑い)」と正直に告白。現時点で他の3横綱に勝る点を問われると「どうでしょう。体重?」とトボけてみせる一面をのぞかせた。