大相撲初場所2日目(9日、東京・両国国技館)、大関稀勢の里(30=田子ノ浦)が関脇玉鷲(32=片男波)を一方的に押し出して初日から2連勝。悲願の初優勝へ向けて好スタートを切った。昨年は史上初めて優勝未経験で年間最多勝となった。賜杯に手が届きそうで届かない和製大関の現状は、ライバル力士たちの目にはどう映っているのか?
稀勢の里が悲願の初優勝へ向けて連勝発進した。
取組後は「当たり負けしないようにした。踏み込み? いいんじゃないですか」と納得の表情。3日目以降に向けて「今日は今日。明日は明日」と気持ちを引き締めた。
昨年は13勝と12勝を2回ずつマーク。史上初めて優勝未経験で年間最多勝を受賞した。それは、賜杯に手が届きそうで届かない現状の裏返しでもある。そんな稀勢の里の姿を、賜杯を争うライバル力士たちは冷静に分析している。
横綱鶴竜(31=井筒)は3度目の優勝を果たした昨年11月の九州場所後に「次の番付(横綱)に上がれる力は十分にあると思う。何かがあと一つ足りない。気持ちというのが大事なのかな」と評した。鶴竜自身も初土俵から史上5番目の遅さで横綱に昇進。横綱として初優勝するまでに1年半を要するなど、優勝にたどり着くまでに苦労を重ねてきた。
その横綱が引き合いに出したのが、昨年秋場所で初優勝を果たした大関豪栄道(30=境川)だ。「(優勝した秋場所は)勝っていくにつれて、自信を取り戻したのでは。彼(豪栄道)も、ずっと悔しかったんだと思いますよ。その悔しい気持ちが力になって爆発した。相撲に限った話ではないけれど、気持ち一つで大きく変わる。技術的には、そこまで変わったところはないと思う」と勝負におけるメンタルの重要性を指摘する。
「自分も横綱になって最初の優勝(2回目)をするまでは、どうしても硬くなってしまっていた。“勝ちたい、勝ちたい”という気持ちが強すぎた」と自らの経験を振り返った。もちろん、賜杯を手にすることができたのは自らの力でプレッシャーを克服できたからにほかならない。「やっぱり最後は心で決まる」と話し「自分との闘い」の要素を強調した。
賜杯を抱いた者と、そうでない者の間にある差は天と地ほどの開きがある。稀勢の里は今度こそ“壁”を乗り越えることができるのか。
【大相撲初場所】連勝発進の稀勢の里 悲願初Vに足りないモノ
コメント