大器はこのまま沈んでしまうのか。大相撲九州場所(13日初日、福岡国際センター)に向けて大関照ノ富士(24=伊勢ヶ浜)が3日、福岡・太宰府の部屋宿舎で調整。十両誉富士(31)との三番稽古などで汗を流した。両ヒザに故障を抱え、九州場所は今年だけで3度目のカド番を迎えるが、今回は切り抜けられる保証もない。

 過去3場所は2勝13敗→8勝7敗→4勝11敗と大関とは思えない散々な成績。特に先場所は千秋楽まで9連敗を喫する屈辱的な星取りだった。昨年9月の秋場所で負傷した右ヒザの状態が思わしくなく、その影響で左ヒザも痛めた。前に出ている時はいいが、受けに回ると全くといっていいほど抵抗できず、力が入っていない。

 師匠の伊勢ヶ浜親方(56=元横綱旭富士)でさえ「今場所も苦しい。ヒザが入るのが怖いから、思い切り踏み込んだり回り込んだりすることができていない。稽古をして徐々にやれるようにしていくしかない。まだまだ時間がかかる」と厳しい見方だ。序盤から黒星が先行するようであれば挽回することは難しく、大関からの陥落も現実味を帯びてくる。

 同一年内に3度のカド番を経験するのは、2005年の魁皇と千代大海以来。そんな中でも当の本人はこの日の稽古後、ファンからの記念撮影やサインの求めに応じて「オレって“いい人”だな(笑い)」と上機嫌だった。

 現在のヒザの状態を尋ねると「走れるくらい調子はいいよ!」と言って目の前でダッシュをしてみせたが、本当に大丈夫なのだろうか…。