横綱白鵬(31=宮城野)が1日、大相撲九州場所(13日初日、福岡国際センター)の出場へ強い意欲を示した。9月の秋場所は横綱として初めて全休し、右足親指を手術。10月の秋巡業は中盤から参加し、稽古や取組をこなせる程度まで回復している。ただ、実際に出場できるかどうかは、今後の調整次第。大関豪栄道(30=境川)の綱取りにも大きな影響を及ぼすだけに、その動向に注目が集まる。

 白鵬はこの日、福岡市役所を表敬訪問後に報道陣に対応。九州場所の出場について「ぜひとも、九州場所で(史上)3人目の1000勝(あと3勝)を見せてあげられれば。出場の気持ち? はい」と前向きな言葉を口にした。秋場所は横綱として初めて全休し、右足親指の手術に踏み切った。秋巡業は10月20日の京都から復帰し、関取衆との稽古も再開している。

 白鵬は「巡業の最後の2日間は割(取組)に入って、確認しながら相撲を取った。体をなじませることはできている。痛みはない。あとは(相撲の)感覚」と順調な回復を強調。ただ、実際に出場できるかどうかは現時点では不透明だ。事情に詳しい関係者は「まだ足の指の状態は100%じゃない。思っていたよりも、回復が遅れているようだ」と明かす。

 実際、白鵬自身も「今週は部屋で体づくりに励んで、来週は出稽古。そこで“ヨシ”となれば」と出場に関する最終的な判断は保留した。本人に出場の意思があるにせよ、場所前の稽古で再び患部を悪化させるリスクもゼロではない。まだ完治していないのであれば、なおさらだ。さらに、白鵬の出場の可否は九州場所全体にも大きな影響を及ぼす。

 とりわけ、大関豪栄道の綱取りの行方は、大横綱が出るか出ないかで状況は一変する。歴代最多の優勝37回を誇る白鵬は常にV候補の大本命であるばかりでなく、豪栄道にとっては過去の対戦成績で6勝32敗と圧倒的に分が悪い相手だからだ。

 豪栄道が秋場所で初優勝を達成した背景には、最強横綱の休場という“追い風”があったことも事実。誰もが納得する形で横綱に昇進するためにも、白鵬を倒したうえで2場所連続Vを果たしたいところだろう。

 その白鵬は豪栄道について「(綱取りの)“壁”になるのは横綱の務めでもある。対戦は11日目か12日目になるのでは。いい相撲が取れれば」と話し、出場した場合は真正面から受けて立つ構えを見せたが…。果たして、最強横綱はナニワの大関の前に立ちはだかるのか。