大相撲秋場所5日目(15日、東京・両国国技館)、綱取りに挑む大関稀勢の里(30=田子ノ浦)が幕内貴ノ岩(26=貴乃花)を寄り切って初顔の相手を一蹴。取組後は「初顔の相手? 集中してですね。いいと思います」と納得の表情だった。

 この日は横綱審議委員会による本場所総見が行われた。序盤戦の5日間を終えて3勝2敗の成績について、守屋秀繁委員長(千葉大名誉教授)は「平幕相手の2敗は痛い」としたうえで「あと10日間あるし、全部勝てば13勝2敗。2横綱にも勝つということだから“文句なし”になる」。ここまでの悪い印象を帳消しにするためには、2横綱の撃破と13勝が必要との見解を示した。

 その一方で、12勝で優勝した場合は「内容にもよる。12勝で“優勝だから即OK”というのは…。(横審内で)反対意見があるかもしれない。(横審に諮問されても)過去に見送られた人もいる」と判断を保留。審判部が条件としている「優勝=横綱昇進」とは微妙な“温度差”を見せた。稀勢の里は先場所12勝。平成以降に昇進した横綱で直近の2場所が24勝以下だったことは一度も例がない。

 低レベルの優勝なら横審内からも疑問を投げかける意見が出かねない。「慎重論」を封じ込めるためにはここから10連勝する必要がありそうだ。