大相撲名古屋場所10日目(19日、愛知県体育館)、初優勝と綱取りに挑む大関稀勢の里(30=田子ノ浦)は、幕内松鳳山(32=二所ノ関)の変化についていけず、突き落としを食らって痛恨の2敗目を喫した。取組後は「変化は予想外? うーん…。ここからが大事? そうですね」と言葉少な。過去9勝1敗の格下に取りこぼしたショックを隠し切れない様子だった。

 白鵬(31=宮城野)と日馬富士(32=伊勢ヶ浜)の両横綱を含めて2敗に5人が並ぶ混戦模様。稀勢の里にも優勝のチャンスがあるとはいえ、厳しい状況になったことは否めない。この日の取組前、元大関栃東の玉ノ井親方(39)は「(綱取りの行方は)まだ分からない。残り3日間が勝負。横綱は最後の3日間で勝負強さを発揮してくる。これまでの稀勢の里は、そこでモロさが出ている」と指摘していた。

 稀勢の里は2場所連続で13勝を挙げる一方で、3横綱との対戦では、いずれも1勝2敗。鶴竜(30=井筒)が休場中とはいえ、2横綱を同じ場所で倒すのは至難の業だ。その意味でも、横綱戦を前に「1勝」のアドバンテージを失った意味は、とてつもなく大きい。前日9日目は両横綱が敗れる波乱で強烈な追い風を受けたが、一転して“逆風”が吹いた格好だ。

 悲願の初賜杯に向けて、和製大関が大きな正念場を迎えている。