大相撲名古屋場所(10日初日、愛知県体育館)に向けて、横綱日馬富士(32=伊勢ヶ浜)が愛知・大府市の芝田山部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古に参加した。申し合いでは稀勢の里(30=田子ノ浦)、琴奨菊(32=佐渡ヶ嶽)の両大関を相手に6勝4敗。稽古後は「いい汗を流しました。順調にきています」と、うなずいた。

 しかし実際には、体のほうは満身創痍だ。古傷の両足首や右ヒジのほかに右ヒザにも深刻な故障を抱えており、サポーターが欠かせない状態。横綱自ら「体はボロボロ」と思わず弱音を漏らすこともあるほどだ。過去2場所は9勝、10勝と低迷。かたや稀勢の里は2場所連続で13勝…いったい、どちらが横綱なのか分からない。

 その一方で、日馬富士は5月の夏場所前に横綱白鵬(31=宮城野)に代わって力士会の新会長に就任。土俵外でも“重責”を担うことになった。先月28日に開かれた力士会では白鵬が両国国技館などで販売されている力士関連のグッズについて「売り上げから1%でも2%でも力士にあげてもいいんじゃないか」と大胆な提案をブチ上げた。

 実際のところ実現の可能性は低く、協会側が受け入れるとは到底思えない。交渉したところで却下されるのが関の山だろう。かといって、大横綱からの提案を“スルー”できるはずもない。たとえ無理難題だとしても、日馬富士は力士会の代表として協会に掛け合わなくてはならない難しい立場となった。いずれにせよ、このままV逸が続けば土俵外での発言力も低下するばかり。賜杯奪回を果たしたいところだが、どうなるか?