本当のラストチャンスだ。大相撲名古屋場所(10日初日、愛知県体育館)で綱取りに挑む大関稀勢の里(30=田子ノ浦)が3日、愛知・長久手市の部屋宿舎で稽古を行い、小結高安(26)との三番稽古などで汗を流した。この日は30歳の誕生日。自らが賜杯を手にするイラストが描かれたケーキを前に「なんとかこの絵のように、期待に応えられるようにしたい」と決意を新たにした。

 先代師匠の元横綱隆の里も同じ30歳で綱をつかんだ。昭和以降に30代で横綱に昇進したのは計7人。年6場所制となった1958年以降に限れば、わずか4人しかいない。年齢的なピークを考えれば、和製大関に残されている時間は決して多くはない。ここで綱取りが振り出しに戻ってしまえば、再挑戦の機会が巡ってこないとも限らない。

 それだけに、稀勢の里の周辺では「今回が本当に“最後の最後”のチャンス」(近い関係者)ともささやかれている。当の稀勢の里は「体(の状態)は10代以上。どんどん元気になっている。体の張りもそうだし、力も伝わるし、気持ちよく四股も踏める」と断言。綱取りの前提となる初優勝へ向けて「納得がいく相撲を取った結果、そうなれば。あと1歩2歩(優勝に)近づいている」と意欲を見せた。

 稽古場には例年を上回る大勢の見物客が訪れるなど、期待感が高まっていることは確か。今度こそチャンスをモノにできるか。