大相撲名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)で初優勝と綱取りに挑む大関稀勢の里(29=田子ノ浦)が27日、愛知・長久手市の部屋宿舎で会見し「応援してくれる人に恩返しをしなければいけない。(優勝に必要なことは)あと少しのことだと思う。内容のある稽古をして、内容のある相撲を取っていきたい」と悲願達成に意欲を見せた。

 ここまで2場所連続13勝は立派な成績。ただ、優勝に届かなかった要因は一目瞭然だ。3月場所は全勝で迎えた11日目から白鵬(31=宮城野)、日馬富士(32=伊勢ヶ浜)に連敗。5月場所も13日目から白鵬、鶴竜(30=井筒)に連敗し、V逸を招いている。3年前の5月場所も13連勝から連敗フィニッシュ…。優勝がかかった終盤戦で、ことごとく連敗を喫しているのだ。

 負けた翌日にショックを引きずるような黒星を重ねれば、優勝決定戦や逆転Vの可能性さえ限りなくゼロになる。横綱審議委員会の守屋秀繁委員長(千葉大名誉教授)も稀勢の里の“勝負弱さ”に歯がゆさを感じている一人。「(先場所の白鵬戦は)緊張していた。その結果として13日目、14日目と負けた。メンタル面でのトレーニングが必要では」とまで指摘しているほどだ。

 稀勢の里は「いつも通りにやれれば一番いいけど、その“いつも通り”がなかなか難しい。平常心で自信を持って土俵に上がれるように、しっかりやっていきたい」と話したが…今場所はどうなるか。