大相撲の横綱審議委員会が23日、東京・両国国技館で開かれ、守屋秀繁委員長(千葉大名誉教授)は夏場所で2場所連続13勝を挙げた大関稀勢の里(29=田子ノ浦)の綱取りについて、優勝を必須とする見解を示した。

「ほとんどの人(委員)が優勝しないとだめという意見。私もそう思う。急いで横綱にすると引退が早くなるだけという意見もある」。また、優勝した場合でも星数や相撲内容を重視する構えで「優勝しても、13勝では難しいのでは。焦って横綱にするのは良くない」とハイレベルな内容を求めた。

 一見すると厳しい条件にも思えるが、横審が内規で定める「2場所連続優勝」の原則に従って発言したにすぎない。守屋委員長は、全勝の横綱白鵬(31=宮城野)と2差開いたことも「差がある印象」とし「優勝に準ずる成績」と見ていない。日本相撲協会の審判部は名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)で優勝さえすれば、星数に関係なく横綱昇進を認める姿勢。V逸でも好成績なら綱取りを後押しする意見もある。こうした「和製横綱誕生」ありきの流れに、横審が“物言い”をつけた格好だ。

 さらに、守屋委員長は「優勝もしないで横綱にするのかと非難の声が出るのはまずい」とも。綱取りの可否を判断するのは審判部↓理事長↓横審という流れ。いわば横審は「最後の関門」だ。仮に稀勢の里が横綱昇進後に低迷すれば、最終的な“任命責任”は横審に降りかかってくる。慎重論が出るのも当然だろう。和製大関は誰もが納得できる好成績を残せるか。