快進撃!稀勢の里 伊勢ヶ浜親方が感じた変化

2016年03月23日 11時00分

鶴竜(左)を小手投げで破った稀勢の里は全勝をキープ

 今回はいける? 大相撲春場所10日目(22日、大阪府立体育会館)、大関稀勢の里(29=田子ノ浦)が横綱鶴竜(30=井筒)を小手投げで破り10連勝。単独トップを守り、悲願の初優勝にまた一歩近づいた。これまで何度もV争いに絡みながら、終盤戦に失速して賜杯を逃し続けてきた。果たして、今回の快進撃は本物なのか。残り5日間で真価が問われることになりそうだ。

 稀勢の里が執念で白星をもぎ取った。鶴竜にもろ差しを許して土俵際まで攻め込まれたが、体勢を入れ替えながら小手投げで逆転勝ち。取組後は「よく残した? 体が動いてくれた。思い切ってやりました。進化している? 積み重ねです」と納得の表情を浮かべた。

 ただ、稀勢の里は何度もV争いに絡みながらも、終盤になって脱落した苦い過去がある。2013年の夏場所では初日から13連勝後に2連敗フィニッシュ。最後で賜杯を取り逃がした。果たして、今回の快進撃は本物なのか。審判部長の伊勢ヶ浜親方(55=元横綱旭富士)は今場所の稀勢の里について「土俵の上で落ち着いているし、立ち合いに迷いがないよね」と精神面の変化を指摘する。

 これまでは大事な一番になるほど、まばたきの回数が多くなり、立ち合いで合わせられないこともしばしば。今場所の稀勢の里には、それがない。一方、相撲内容について「特に大きく変わったところがあるとは思わない。立ち合いに迷いがないぶんだけ、低くいってはいるんだけど。それでも(腰が)まだ高いよね」(伊勢ヶ浜親方)と課題を挙げた。

 9日目の大関琴奨菊(32=佐渡ヶ嶽)戦は真っ向勝負を避け、変わりながらの突き落とし。この日も鶴竜のノド輪で体を突き起こされ、有利な形に持ち込まれた。それだけに「稀勢の里の場合はこれからだよね。今までのように下には取りこぼさなかったけど、大関なら下に勝つのは当たり前。残りの相撲を見てみないと分からない」と慎重な姿勢を崩さなかった。

 11日目は1敗で追う横綱白鵬(31=宮城野)との大一番。その後も難敵が待ち構える。稀勢の里は最大の関門となる終盤戦へ向けて「これからが勝負」と表情を引きしめたが、悲願の初賜杯に手が届くのか。最後まで息の抜けない5日間となりそうだ。