大相撲春場所(13日初日、大阪府立体育会館)を前に大関稀勢の里(29=田子ノ浦)が7日、大阪・松原市の佐渡ヶ嶽部屋で出稽古を行った。大関琴奨菊(32)を相手に10番取って8勝2敗と圧倒した。ライバルの初優勝にも「やることは大して変わらない。今やることをしっかりやるだけ」と“無関心”を装ったが、悔しい思いをしていないはずがない。

 これまで日本出身力士による優勝と横綱は常に稀勢の里が最有力候補であり続けた。一方で、肝心なところで琴奨菊に敗れて優勝争いから引きずり降ろされたことは一度や二度ではない。初場所前の一門の連合稽古でも内容的には相手を圧倒しながら、場所本番の対戦では完敗…。何かと因縁があるライバルに、賜杯まで先を越される格好となった。

 この日の稽古を視察した相撲解説者の舞の海秀平氏(48=元小結)は「お互いのプライドのぶつかり合いを感じた。稀勢の里は(琴奨菊に)先に優勝されたけど“自分のほうが力は上”と示したかったのでは。ここまでの状態は稀勢の里のほうが断然いい」と話す一方で「今日は稀勢の里が圧倒していたが、本場所では分からない」とも…。

 完全に入れ替わった立場から巻き返せるか。