大相撲初場所で日本出身力士として10年ぶりに優勝した大関琴奨菊(32=佐渡ヶ嶽)が21日、千葉・松戸市のJR松戸駅前で祝賀パレードを行い、沿道に詰め掛けた5万5000人から祝福を受けた。パレードに先立ち行われた優勝報告会では「もう一つ上の地位を目指して頑張っていきます」と綱取りを誓った。

 そんななか、和製大関が異例の行動に出た。パレードに出席した松戸市の本郷谷健次市長(67)に「自由にトレーニングできる場所がないので、何とかならないでしょうか」と“直談判”したのだ。

 琴奨菊は通常の相撲の稽古と体幹を中心に鍛える筋力トレの「二本立て」で強化に取り組み、初賜杯をつかんだ。相撲の稽古なら部屋の稽古場で事足りるが、筋力トレはハンマーを振り回したりするため一定の広さが必要。これまでは部屋の近くの公園を利用してきたものの、公共のスペースだけに先客がいれば大関といえども割り込むことはできない。

 また、タイヤを押す激しいトレーニングで地面が削れてしまったこともあった。これでは地元住民が定期的に行っているグラウンドゴルフなどにも支障が出てしまう。琴奨菊にとって、誰にも気兼ねなくトレーニングできる場所の確保は切実な問題なのだ。

 異例の要請を受けた本郷谷市長は「学校の校庭や(別の)公園などで検討させていただく」と約束。市長の計らいで“トレーニング難民”から抜け出すことができるか。