大相撲初場所で日本出身力士として、10年ぶりの優勝を果たした大関琴奨菊(32=佐渡ヶ嶽)が綱取りに向けて、競輪界と“合体”した。4日、千葉・松戸の部屋で稽古を再開し、四股やぶつかり稽古を行った琴奨菊は、午後に関脇嘉風(33=尾車)とともに、千葉競輪場で競輪選手と合同トレーニングを敢行。高い身体能力を披露した。

 特別に用意された大型マウンテンバイクで、1周500メートルのバンクを6周。並走していた嘉風を終盤に突き放す快走を見せた。ゴール後は「きつい…」と漏らしつつも、バンクの坂を使った走法に、S級選手の石井秀治(36)も「普通は1回や2回では怖くてバンクを使えないですよ」と驚くばかりだった。

 琴奨菊は“異文化交流”という形で、競輪選手たちに普段の稽古で取り入れているケトルベルやタイヤを使った練習法を指導したが、その矛先は報道陣にも向けられた。「みなさんもやってみてください。全員ね」の大号令で、左右の手で10回ずつ、16キロのケトルベルのトレーニングを提案。右手負傷中の本紙記者も左手限定でノルマを達成するも、大関から「あと5回」と非情な声が飛び、結局片手で20回という“かわいがり”を受けた。

 涼しい顔で終えた琴奨菊は春場所(3月13日初日、大阪府立体育会館)での綱取りに向け「ある程度は根拠のあるやり方で調整しているので、自信を持ってやりたい」と手応え十分だった。