大相撲九州場所8日目(15日、福岡国際センター)、V36を目指す横綱白鵬(30=宮城野)が関脇妙義龍(29=境川)を押し出して全勝ターン。優勝争いでも単独トップをキープした。秋場所は左ヒザの故障で3日目から途中休場。その影響を全く感じさせない快進撃に「日にちがたつごとに、感覚が戻っている感じがある。(中日給金は)調子がいいですからね」と納得の表情を浮かべた。

 白鵬には、今場所で賜杯を手にしておきたい特別な“事情”もある。12月20日に最多優勝回数達成(現在35回)の祝賀会が都内のホテルで盛大に開かれるからだ。後援者らを中心に700人以上の出席が見込まれている。当初は秋場所後の10月3日の開催を予定していたが、白鵬の途中休場で延期となった。本場所を休んだ力士は日本相撲協会の公式行事に復帰するまでは表立った行動を控える慣例があるためだ。

 かねて白鵬は「一年の締めくくり」にあたる九州場所を重視してきた。過去8年で6連覇を含む7回優勝の実績が、それを証明している。さらに当初から「優勝して花を添えられれば」と意気込んでいた最多優勝回数の大イベントが、結果的に年末に開かれることになった。2つの“節目”が重なることで、これまで以上に賜杯への思いが増しているに違いない。場所を折り返した白鵬は「(残りの)一週間、楽しみたい。復帰した喜び? そういう気持ちで頑張っていきます」。余裕すら漂わせる最強横綱に死角は見当たらない。