大相撲九州場所4日目(11日、福岡国際センター)、横綱白鵬(30=宮城野)が小結嘉風(33=尾車)をはたき込んで4連勝。右で張って体を開くと、嘉風は両手をバッタリついた。あっけなすぎる勝負に観客からはタメ息が漏れた。

 秋場所は初日から連敗し、横綱として初めて途中休場。嘉風は2日目に敗れた因縁の相手でもあった。ファンが期待する熱戦にならず、取組後の白鵬もバツが悪そうな表情。「ここへ来ている人(観客)にいいものを見せられなかったのは申し訳なかった。気をつけて頑張ります」と“謝罪”の言葉を口にした。

 あからさまに飛ぶような変化ではないとはいえ、格下の相手を真正面から受け止められなかったのは確か。日本相撲協会の北の湖理事長(62=元横綱)は「逃げている。強く行けない感じだった。不安な気持ちもあったのでは」と指摘した。しかも、仕切りの段階から「考えごとをしているな。目がキョロキョロしている。普通は先場所で負けてるから『クソッ!』とにらみつけるんだけど」と微妙な変化も見逃さなかった。

 横綱が格下を相手に連敗は許されない。これまでの白鵬であれば、ただならぬ殺気を漂わせ、顔面への強烈なカチ上げを見舞うような手荒い攻めもいとわない場面だった。それに比べれば、この日は何とも消極的な姿にも映るのだが…。最強横綱は大丈夫なのか。