大相撲九州場所(11月8日初日、福岡国際センター)で綱取りを目指す大関照ノ富士(23=伊勢ヶ浜)が29日、福岡・太宰府の部屋で稽古を行った。秋場所では13日目に右ヒザを負傷しながら千秋楽まで強行出場。12勝3敗で優勝同点の成績を残した。今場所、全勝などハイレベルな内容で優勝すれば、横綱に昇進する可能性もある。

 福岡に入ってから初めて若い衆を相手に相撲を取った照ノ富士は「まだ立ち合いで当たるのが怖い」と言いつつも「動きは悪くない。力も筋肉も落ちていない」と前向きな言葉も出た。そんななか、綱取りを実現させるために必要となるのが“強引相撲”からの脱皮だ。

 右四つの形がある一方で、不利な体勢からでも力任せで相手をねじ伏せて白星を重ねてきた。だが、秋場所は下がりながらの強引な投げが故障を招く結果に。かねての課題が浮き彫りとなった。師匠の伊勢ヶ浜親方(55=元横綱旭富士)は「自分の形(右四つ)はしっかり身につけないといけない。どうしても無理な投げとか、偏った相撲になってしまう。先場所のケガを反省して、それを生かすように稽古して相撲を取っていかないと」と指摘する。

 優勝争い以前に、再び強引な相撲でケガを再発させては元も子もない。場所本番までにどこまで“モデルチェンジ”できるかがカギを握りそうだ。