大相撲九州場所(11月8日初日、福岡国際センター)の新番付が26日に発表され、鶴竜(30=井筒)が初めて東の正横綱に就いた。福岡市内で会見した鶴竜は「これで本当の意味で番付が一番上になった。これからも頑張らなくてはいけない」と表情を引き締めた。

 9月の秋場所で横綱初優勝を果たした一方、大関稀勢の里(29=田子ノ浦)との一番では立ち合いで2度にわたって変化。観客からはブーイングが起こり、審判部の親方が苦言を呈するなど大きな波紋が広がった。

 この一件は関取衆の間にも大きな衝撃を与えたようで、秋巡業中も話題になっていたという。幕内力士の一人は「横綱が(格下の)大関にあそこまでビビらなくても…。よほど自信がなかったのでは」とあきれ顔。別の力士は「普通は1回目(の変化)で失敗したら、2回目は怖くてできない。相当な度胸がいる」との見方をするなど、意見はさまざまだ。

 注文相撲の賛否は別にして、関取衆の間に「鶴竜=変化」のイメージが深く刻み込まれたことは確か。今後、立ち合いの駆け引きにも影響を及ぼす可能性がある。鶴竜自身は「横綱初V」の重圧から解放されたためか「気持ち的には一番変わりましたね。以前よりも気楽に、もっと前向きになれる。連覇に挑戦したい」と話していた。

 今場所はファンが期待する真っ向勝負でいくのか。あくまで結果を重視のスタイルで勝負に徹するのか。その相撲内容にも、注目が集まることになりそうだ。