看板力士の〝心の変化〟とは――。大相撲の横綱照ノ富士(30=伊勢ヶ浜)が9日、東京・江東区の富岡八幡宮で行われた「横綱力士碑」の刻名式に出席。歴代横綱のしこ名が刻まれている石碑に自らのしこ名が加わった。

 石碑には双葉山や大鵬ら偉大な先輩横綱が名を連ねており、照ノ富士は「歴代の横綱たちと肩を並べることができたと改めて感じました」と率直な感想。コロナ禍で刻名式を実施できないまま、昨年名古屋場所後の昇進から1年が経過したが「世の中がこういう状況で仕方ないことですから。できることをみんな精いっぱいやってきて、ちょっとずつ元に戻りつつあるのかなと思います」と現状を受け止めている。

 横綱の言葉通り、5日から夏巡業がスタート。コロナで中止が続いていた巡業は約2年8か月ぶりの再開となった。ただし、感染対策を徹底しており、ファンとの交流は制限されている。

 照ノ富士は「会場に足を運んでくれるお客さんはライブでも、いろんなところでもそうだけど声を出して応援して、みんなで盛り上がることで興奮を感じますから。これからもっとそういうふうになってきてほしいけど、まだそういう時期じゃないのかもしれない」とポツリ。それでも「足を運んでくれるお客さんがいるわけですから、力士は土俵の上でちゃんといい成績を残して喜んでもらうことしかできないので。精いっぱい頑張ってきたい」と力を込めた。

 昇進後は6場所で優勝3回。1年を振り返った照ノ富士は「横綱になるまではいろんなことを考えず一生懸命強くなりたい、上に番付があるからその番付になりたいという気持ちでずっとやっていました」とした上で「横綱になったらなったで、やらなくちゃいけない責任(がある)。横綱としての行動とかいろんなことを学びつつ、師匠(伊勢ヶ浜親方=元横綱旭富士)も横綱ですから。いろいろなことを相談して頑張っていきたい」と語った。