まさかの〝総崩れ〟だ。大相撲名古屋場所14日目(23日、愛知県体育館)、横綱照ノ富士(30=伊勢ヶ浜)が大関正代(30=時津風)に引き落とされて3敗目(11勝)。踏み込んでまわしを狙うも相手にいなされ、土俵下に落ちそうな勢いで倒れた。

 勝てば連覇に王手がかかる一番で焦りが出たのか、取組後は取材に応じず、土俵下の藤島審判長(元大関武双山)は「珍しい負け方をしましたね。上体だけで攻めてしまった」と指摘した。

 ただ、痛恨の黒星を喫したのは横綱だけではない。照ノ富士と優勝争いのトップを並走する幕内逸ノ城(湊)も幕内明生(立浪)に寄り切られて完敗。過去4勝6敗と苦戦している相手にこの日も一気に攻められた。さらに2人を1差で追う大関貴景勝(常盤山)は関脇若隆景(荒汐)に送り出されて4敗目(10勝)となった。

 千秋楽(24日)は照ノ富士が貴景勝、逸ノ城は幕内宇良(木瀬)と対戦。同審判長は「(V争いの)意識はするでしょう」とした上で「全員負けたわけですから切り替えてやっていくこと。いい相撲で締めくくってほしい」と語った。コロナで休場者が続出する異例の場所で賜杯を手にするのは誰か。