角界のレジェンドが23年余りに及ぶ現役生活にピリオドを打った。幕内旭天鵬(40=友綱)が27日、名古屋市内の部屋宿舎で会見し、引退を表明。「やっぱり力がなくなったなと。気持ちの糸が切れた感じがして、師匠(友綱親方)に伝えました。14日目の安美錦戦で負けて(十両への陥落が決まり)切れた。ずっと幕内にこだわり続けていた」と決断に至った経緯を明かした。

 一番の思い出には2012年夏場所の初優勝を挙げ「土俵の上で泣いたのは初めて。あれでいろんな人に知ってもらった。『同じ年なんですよ』とか『関取を見て頑張れるようになりました』とかいっぱい聞いた。あの優勝はすごく意味があったし、僕を成長させてくれた」と振り返った。

 今後は大島親方として後進の指導にあたる。「自分の経験を伝えて、皆に愛される力士を育てたい」と指導者としての抱負を語った。

 将来的には自らの部屋を持つことも視野に入れている。

 会見終了後は「みんな、握手しよう!」と自ら報道陣に歩み寄り、一人ひとりと握手。親方になっても、気さくな人柄は全く変わらなかった。