角界のレジェンドがついに土俵を去る。大相撲名古屋場所千秋楽(26日、愛知県体育館)、幕内旭天鵬(40=友綱)が幕内栃ノ心(27=春日野)に寄り切られて完敗。3勝12敗で場所を終え、十両陥落が決定的となった。花道を引き揚げる際には、涙を拭う場面もあった。支度部屋に戻ると「ちゃんと15日間取れて良かった。ずっと幕内にこだわってきたから」。かねて「十両に落ちたらやめる」と公言しており、現役引退の意思を固めた。

 旭鷲山らとともに初のモンゴル出身力士として1992年春場所に初土俵。最高位は関脇で、2012年夏場所では37歳8か月の史上最年長で初優勝を果たした。幕内出場回数1470回は史上1位、幕内在位99場所は同2位。力強い四つ相撲で息の長い土俵生活を送ってきた。

 誰よりも旭天鵬を慕っていた白鵬は「我々の故郷(モンゴル)から初めて来て、我慢して耐えてやっていなければ我々の道はなかった。先輩であったし、時には先生かな。お兄さんであったり、友人…。それくらい深いっていうのかな」と存在の大きさを口にした。優勝の表彰式を終えると、ねぎらいの花束を手渡し、2人で優勝パレードのオープンカーに乗り込んだ。

 白鵬は東京五輪が開かれる2020年までの現役続行を目標に掲げている。5年後には35歳。最強横綱にとっても、40歳まで現役を続けた旭天鵬は「手本」になりそうだ。